※このイベントは2020年8月5日に終了いたしました。
マインドフルネスは日本文化から生まれた
アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏によって広められたとも言える『マインドフルネス』は、70年代後半ジョン・カバット・ジン氏によって提唱されました。 ストレスの軽減を主たる目的として、自らが学んだ禅から宗教的な要素を取り除き、西洋科学と融合の結果生まれました。 皆さんがよくご存じのグーグル社でも、株式公開当時から活用が始まり、生産性の向上や創造に大きな成果を上げたと言われています。結果として日本に逆輸入されてきました。 今日では多くの研究から、ストレスの軽減、記憶の強化、集中力の強化などに確かな成果があると認められています。 本講座では『日本的視点』、『東洋的視点』に立って、あらためて『マインドフルネス』を検証、体験していきたいと思います。
日 付:2020年8月5日
時 間:18:00~19:30
内容
呼吸
数世紀も前から研究されつづけ、もっと「息をする」ことに意識を向けるべきと提唱され続けています。
呼吸は、日々無意識な行為であるがゆえに疎かにしがちですが、脳や健康全般に大きな影響を及ぼす可能性があります。
今回は、和の杜講師であるウィリアム・リードが、合気道の呼吸法の観点から「質の良い呼吸」をお伝えいたします。
呼吸が体や脳に与える効果
感情を整えポジティブに
質の良い呼吸により増えたα波は「幸せホルモン」と言われている「セロトニン」の分泌を盛んにします。セロトニンは、精神安定や睡眠に深くかかわっている精神伝達物質であり、その分泌が盛んになることでリラックスした心の状態にしてくれます。
「呼吸を数えることで、感情を司る脳域が整う」また、近年の研究により呼吸を数えることが脳全体、とくに感情に関連する領域の脳波に影響を与えることがわかりました。
:2分間、呼吸回数を数えた結果、意識を集中させて、感情・記憶・意識に関連する脳域の活動がより整った。との研究結果も報告されています。呼吸で脳をコントロールできる、のです。
健康的な体をつくる
「深く息を吸いましょう」
食事で取り込まれた栄養素は、呼吸によって全身へ運ばれる酸素によりエネルギーに変えられます。深い呼吸をすることで血行が良くなり、肩こりや頭痛、冷え、美肌、おなか回りがすっきしたり、血圧の上昇を減少させる効果も期待できると言われています。研究によれば、呼吸をゆっくりにすることで「圧反射感受性」(急激な血圧上昇へ反射的に副交感神経を高め、交感神経を減少させる能力)が高まるそうです。さらに、長い目で見れば、呼吸をコントロールすることで、血圧と心拍数を下げ、脳卒中や脳動脈瘤のリスクが小さくなり、免疫システムを改善する効果が期待できると言われています。
思考力や記憶力の向上
「呼吸法で記憶力が高まる?」
身体で最も多くの酸素を必要とする部分は「脳」であり、食後頭がぼーっと眠くなるのは消化のため脳へ十分な酸素量がいきわたらないためです。
2018年9月に記憶力低下の原因の1つが「呼吸」であると日本で初めて発見されました。記憶を思い出すプロセスが‘呼吸の仕方’が起因で、正確に思い出せないなど記憶力低下に直接影響すると判明したそうです。
そのため正しい呼吸を身につけることで、日常生活、仕事、勉強のみならず、スポーツや車の運転など、あらゆる分野でのパフォーマンスが向上したり、頭の働きが活発になったり、思考力や記憶力の向上が期待できます。
写経
写経とは、仏教において経典を書写することと、その書写された経典の事を指します。
その目的は古くは信仰や祈願、供養のためとされてきましたが、現代においては精神の安定を目的に写経に取り組む方も増えています。
写経が体や脳に与える効果
無心になり心身をリラックス
写経中は無心になるように心がけ、余計なことを考えず書くことにだけ集中します。
慣れてくると頭がぼーっとした状態で書き続けることができるようになり、脳内ではベータ・エンドルフィンという脳内物質が分泌されているそうです。
この物質は思考をポジティブにし、免疫力を高めてくれるといわれています。
文字を書くことで脳を活性化
パソコンなどの普及により文字を書く機会が少なくなっている現代人。
写経は数百文字をなぞるだけの簡単な作業ですが想像以上に疲れます。疲れるということは脳を使っている証しでもあり、逆に普段は脳を活性化できていないという証しでもあります。
「字を書く」という行為そのものが、単純ではありますがとても脳を活性化させるのです。
集中力と忍耐力の向上
写経を最後まで書き写すということは、とても忍耐を伴います。
途中で集中力が途切れてしまうこともあるかと思いますが、しかしそこを耐え継続することにより、途中から不思議と手が止まらず書き続けられるようになります。
それは、集中力や忍耐力が飛躍的に向上しているといわれています。
華厳一乗法界図を使用した写経
一乗法界図とは7世紀、朝鮮半島の華厳宗の初祖
である義相(義湘とも表記、625―702)の著作。
華厳思想を七言三十句の合計210文字にまとめ、それを四角形に配置し、中心から迷路をたどるように上下左右屈曲しながら進む形式になっており、一般的な般若心経と一味違う写経を楽しむことができます。
講師:ウィリアム・リード
アメリカ出身。山梨学院大学 国際リベラルアーツ学部(iCLA)教授。山梨放送「てててTV」コメンテーター。唯心会合氣道八段。全日本教育書道連盟書道十段、全日本教育書道連盟副会長。ナンバ術協会特別師範。2009年世界第一号のワールドクラス・スピーキング認定コーチになる。
日本語と英語で国内外に日本文化の素晴らしさを伝えている。代表著『世界最高のプレゼン術』(KADOKAWA/角川書店)ほか多数。